Trace Face

Trace Face

ニット・ラタンの手触りをそのままに。

愛知県瀬戸市の原型職人との協業により、始まったプロダクトです。1300年以上の歴史を持つ、瀬戸は美濃地方の陶磁器生産、特に型の製造技術を最大限に活かし、細部まで緻密な手彫りを施した、温かみを感じるニット柄と、涼しげな籐かごのラタン柄をカップに再現しました。Trace Faceは、全行程が人の手で作られています。通常、陶磁器の装飾は「染付・上絵」といい、プレーンな陶磁器に模様を描く技法を用いますが、Trace Faceは描くのではなく、陶磁器自体に模様を彫り込むという、陶器の新たな可能性にチャレンジしたプロダクトです。 熟練の職人でも、ニットの細かい凹凸を手彫りで表現するには、とても長い時間を要し、作業は毎日深夜まで、約二週間かけて原型が完成しました。ナチュラルな素材そのままの風合いを、陶器の表面に写し取ったその仕上がりには、作られて来た製造背景を想像してしまう奥深さがあります。「手編み」ならぬ「手彫り」のTrace Faceは、どんなシーンにも合い、緑茶や珈琲、紅茶、ちょっとした茶菓子など、入れるものを選びません。また、洋室、和室、オフィスなど、どんな場所にも馴染みます。

陶磁器というと、作務衣を着てロクロをまわして製作しているイメージが浮かびます。しかし、日常生活の中で使う陶磁器のほとんどは、型によって作られています。 瀬戸・美濃地方の陶磁器生産は今まで窯、釉薬、素地、型など工程ごとの分業によって成り立ってきました。原型と型の製造において約50年、その分業の一翼を担ってきた三代目の吉橋氏は、これまで、大手メーカーから依頼されて型を作る受注生産を生業としていました。ところが時代の流れとともに受注は減少、自ら販路を開拓し、自分たちで商品を開発していこうという思いをきっかけに、協業がスタートしました。現在は自社ブランドの展開や、Trace Faceのような新商品の開発を続けています。

江戸時代より受け継がれてきた、手彫りの技術を活かしてきた型メーカーは、細かな作業を得意とし、陶器でできた干支の置物製造が本業でした。Trace Faceは、その職人の緻密な手彫り技術で挑戦した、ニット柄とラタン柄のカップです。陶器では表現しきれないといわれていた異素材の質感を、緻密に彫り込んだ原型により、セラミックボディ上に繊細な凹凸を実現。ニットとラタンの素材感がより伝わる質感に仕上がるよう、あえて外側には釉薬を塗らず、しっとりと手に馴染む心地よさをつくり上げています。贈る相手を思いながら、選べるニットとラタンのデザインに、ホワイト、ピンク、グリーン、ブルーの4種類のカラーが彩りを添えます。