福井県鯖江は眼鏡の産地であり、今でも日本の眼鏡において90%以上を生産している産地です。
しかし今日、海外への技術流出による低価格商品の市場参入という現状があります。
そこで眼鏡素材を取り扱うメーカーさんより今後の先行きを見据え、
自社の加工技術を活かして商品開発〜流通を目的に、メガネ以外のアイテムを展開したいというご相談を受け
この商品デザイン企画がスタートしました。
・眼鏡フレームはもともと1枚のシートを加工してつくっています
・シートを13枚の刃を駆使した3D切断機にて眼鏡のかたちに切り取ります
・切り取ったあとは、がら研磨にかけ光り輝かせます
・次に熱加工で曲げてフォルムを調整します
・テンプル部分には金属芯を奥まで差し込みます(これも専用の機械で)
この眼鏡の製造工程と同じ製造ラインでつくられているのが”鯖江みみかき”です。
みみかきの商品デザイン企画の過程最大のポイントは、素材の持つ独特な性質です。
眼鏡の素材として使われるセルロースアセテート。
このカラフルで特徴的な色味を持つ素材は、イタリアにあるマツケリ社で作られています。
しかしこの素材は、眼鏡のフレームに使われるだけはあって
非常に柔らかく、60°以上の温度で変形する性質があります。
当初は、ランプシェードなど素材の透明感を活かしたアイデアがたくさん出ましたが、
“熱に弱い”という点に何度も思考試作を重ね、最終的に”みみかき”に辿り着きました。
みみかきに至った決めてとしては、
・マーケットにおいて洗面用具関連(アメニティー)のデザインアイテムへの需要が高まっていること
・眼鏡に使用されるβチタンに弾力性があり、肌のすべりが良いこと(もちろん同様の製造ラインにて成形できること)
上記の考察から最終的にジャストアイデアで”みみかき”に決まりました。
先端部に使用しているβチタンは、
使用時の弾力性を演出する他、眼鏡製法と同様に深部まで芯が通っており
眼鏡フレームと同様に形状を維持させる効果もあります。
フォルムに眼鏡モチーフを使用することはデザイン面もありますが、パッケージへのこだわりが。
商品を目にした方に、眼鏡フレームの素材で出来ていることを連想していただくことと、
パッケージングの手軽さを考慮しました。
右奥まで本体を装着すると、パッケージの写真に丁度眼鏡がかかる位置にくるよう工夫をしました。
現在、第2段、第3段と開発中の製品も、
眼鏡産地である鯖江から新しい風を巻き起こせるよう、メーカーを力を合わせて取組んでいます。