県産鹿革を活用した甲州印伝ブランド|SAIKA

セメントプロデュースデザインは、「URUSHINASHIKA」の取り組みを一般の方々に広く知っていただくことを目的に、日本で唯一の「甲州印伝 伝統工芸士(総合部門)」の資格保持者である山本裕輔氏が経営する、創業90年以上の老舗「印伝の山本」とともに新ブランド「SAIKA(サイカ)」を立ち上げました。

鹿革に漆で紋様を施す山梨県の伝統工芸「甲州印伝」では、これまで中国から輸入された“キョン”の革が主に使用されてきました。一方で、山梨県内ではニホンジカの増加により森林や農業への被害が深刻化し、捕獲された多くの鹿が有効利用されないまま廃棄されているのが現状です。SAIKAは、URUSHINASHIKAの取り組みを通じて開発された、環境負荷の少ない鞣し技術による山梨県産の鹿革を用いた、新しい甲州印伝ブランドです。

江戸時代より受け継がれてきた甲州印伝は、かつて武士や町人の間で巾着などに用いられ、今なお和柄を中心とした文様が多く残ります。SAIKAでは、山梨にゆかりのあるモチーフをこれまでにないモダンな表現で再構築し、現代のライフスタイルに寄り添うデザインを追求しました。漆塗りの技術もさらに繊細なドット模様に挑戦し、これまでにない緻密で上質な美しさを実現しています。

伝統の継承と革新を両立させ、甲州印伝の新たなスタンダードとして誕生した「SAIKA」。
山梨の自然と人の手が生み出す、新しいものづくりのかたちです。


開発/DESIGN

ロゴデザイン・ブランドネーミング

「SAIKA(サイカ)」という名称には、「彩鹿」や「彩化」といった言葉の意味が込められています。漆によって模様が施され、鹿革が華やかに彩られていく様子を表現するとともに、このブランドを通して人々の暮らしにも彩りを添えたいという想いを込めています。

ロゴデザインは、日本を象徴する日の丸をモチーフとし、数多くのラインで描かれた鹿のシルエットの中に、富士山、「印伝の山本」、そして山梨県の頭文字である「Y」のアルファベットを隠しました。さらに、このラインは「猟師」→「解体処理施設」→「なめし業者」→「印伝事業者」→「消費者」へと続くサイクルを表しており、鹿皮の有効活用、森林環境や生態系の保護といった循環の意識を込めています。

日本を代表する伝統工芸「甲州印伝」と、日本産の鹿革を用いた新しいブランドの在り方を象徴するロゴデザインです。

プロダクトデザイン

新たに開発したプロダクトは、ロングウォレット、カードケース、パスケースの3種類。カラーはホワイト、ネイビー、ブラックの3色を展開しています。これまでの甲州印伝とは異なり、現代のライフスタイルやファッションに自然と馴染むデザイン性に加え、機能性も追求。山梨県を代表する新しい印伝製品として誕生しました。

日常的に持ち歩くアイテムだからこそ、サイズ感や開閉方向など細部まで丁寧に微調整し、使用時の所作が美しく見えるよう設計。さりげないディテールには、山梨を象徴する「富士山」や「南アルプス」をモチーフとして取り入れ、地域性と上質さを融合させました。

漆模様は、鹿の毛並みに見られる白い斑点「鹿の子斑(かのこふ)」をモチーフに、小さなドットでモダンに表現。繊細な柄を正確に再現するには高い技術が求められ、伝統工芸士・山本裕輔氏による熟練の手仕事によってのみ実現したものです。ぷっくりと立体的な漆のドット一粒一粒に、職人の魂と美意識が宿っています。

パッケージデザイン

パッケージは、シンプルな貼り箱に白箔でロゴをあしらい、清潔感と上質さを表現しました。白く鞣した鹿革を用いた「SAIKA」の特徴を想起させるデザインとし、開封前からブランドの世界観を感じられる仕上がりとしています。

SAIKAは、甲州印伝の技と山梨の自然から生まれた新しいスタンダード。
手にするたびに、日本の美と職人の誇りを感じていただけます。

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