福島・台湾 大堀相馬焼 × クラフトビール 文化共創プロジェクト|福虎添藝

福島県の伝統工芸「大堀相馬焼」と、台湾のクラフトビールブランド「臺虎精釀(TAIHU BREWING)」による日台協業プロジェクト「福虎添藝」。震災を経て各地で再建を果たした大堀相馬焼と、台湾のクラフトカルチャーを牽引する臺虎精釀。両者の“ものづくりへの姿勢”を掛け合わせ、新たな文化を創出する取り組みとして本プロジェクトは立ち上がりました。
セメントプロデュースデザインは、企画構想からブランド設計、プロダクト開発、ロゴデザイン、販路設計、プロモーションまでトータルで伴走しています。

【臺虎精釀(TAIHU BREWING)ー 台湾】
台湾を代表するクラフトビールブランド。
革新的なレシピとポップなカルチャー発信で、台湾のクラフトシーンを牽引してきました。
伝統に敬意を払いながらも、常に新しい表現を追求する姿勢は、大堀相馬焼の「革新する伝統」と強く共鳴。
福虎添藝では、単なるコラボレーションではなく、“文化と文化を結ぶ存在”として参画。台湾市場への発信力を担いました。

【いかりや窯 ー 福島県(大堀相馬焼)】
浪江町で13代目続いた窯主。震災後、白河市に移転し新しい土地で作陶を再開する。大量生産ではない大堀相馬焼の魅力を伝えるために、県外や若い人のインターンを受け入れ伝統技術が途切れないよう伝播する役目を自ら担う。

【近徳 京月窯 ー 福島県(大堀相馬焼)】
今から300有余年前の元禄年間に「陶工7人衆」の一人として陶芸の道に慎み、後の大堀相馬焼の礎を築き上げた京月窯。現在まで受け継がれ、第15代目の窯主を初の女性窯主として継承。女性の視点ならではの生活に密着した「遊び心」を作品に取り入れる。

【あさか野窯 ー 福島県(大堀相馬焼)】
浪江町で先祖代々の家業として受け継ぎ16代目。長い伝統の中で、移住を余儀なくされ郡山へ移し“あさか野焼”と名付け初代窯主として作陶を再開する。伝統の技術と屋根瓦の産地である郡山の土で新しい作品を手がけられる

【陶徳窯 ー 福島県(大堀相馬焼)】
福島県双葉郡浪江町で300年以上続いてきた窯元「陶徳(すえとく)代表・陶正徳」 現在は郡山市で事業を再開。「陶」という名前で代々続いてきた大堀相馬焼の技術を受け継ぐことと、伝統を活かしつつアレンジし、今の時代にあった作品を伝えていく。

分析/ANALYSIS

現状課題整理と企画の提案

1|震災後の大堀相馬焼という現実
大堀相馬焼は300年以上の歴史を持つ福島県浪江町の伝統工芸です。
青磁の美しい貫入(青ひび)、走り駒の絵付け、そして持っても熱くなりにくい二重焼きなど、時代ごとに革新を重ねながら受け継がれてきました。
しかし2011年の東日本大震災と原発事故により、浪江町は全町避難。
窯元は土地を離れざるを得なくなり、工房や原料採掘地に立ち入れない状態が長く続きました。
震災前には約30軒あった窯元は半数以上が再開に至らず、産地としての存続そのものが危ぶまれる状況に直面します。
それでも残った窯元は、移転先でそれぞれ独自の技法を模索しながら再出発しました。

・原料の再構築
・新たな釉薬の研究
・焼成方法の改良
・これまでにない意匠への挑戦

歴史上何度も進化を重ねてきた大堀相馬焼は、震災後もまた「革新によって伝統を守る」道を選んだのです。

2|進化する伝統という視点
大堀相馬焼はもともと、江戸時代に藩の奨励を受けて発展し、明治期には二重焼きを生み出すなど、常に時代に応じて変化してきました。
つまり、
変わらないことが伝統ではなく、変わり続けることこそが伝統。
福虎添藝は、その延長線上にある挑戦です。
単なる復興支援ではなく、世界へ向けた“進化の一手”としての国際共創。

3|台湾クラフトカルチャーとの接続
台湾の臺虎精釀は、クラフトビールを通して新しい文化を創造してきたブランドです。
伝統を守りながら革新を続ける大堀相馬焼と、挑戦を重ねる台湾クラフトカルチャー。
両者の姿勢は強く共鳴していました。
そこで目指したのは、
「支援」でも「消費」でもなく、対等な技術と文化の共創。

パートナー企業アテンド

セメントプロデュースデザインのネットワークを活かし、台湾政府直属機関である台湾デザイン研究院をパートナーとして招聘。さらに、世界的に知られる台湾のクラフトビールメーカー「臺虎精釀(タイフーブルーイング)」とのコラボレーションを実現しました。
異なる文化と産地をつなぐことで、福虎添藝は単なる商品開発にとどまらず、日台を横断するクリエイティブプロジェクトへと発展しました。

オリエンテーション

プロジェクト始動時には、大堀相馬焼の窯元の皆さまと臺虎精釀のメンバーを含む全関係者によるオンラインオリエンテーションを実施しました。
コロナ禍により対面での交流は叶いませんでしたが、互いの背景や想い、ものづくりに対する姿勢を共有する時間を丁寧に設計。単なる進行確認ではなく、相互理解とリスペクトを育む場とすることで、国境や文化を越えた信頼関係を築きました。
プロジェクトを円滑に進めるうえで、最初の“関係性づくり”を重視した取り組みです。

開発/DESIGN

ブランド設計_ロゴ・ネーミングデザイン

プロジェクト名「福虎添藝(ふーふーてんいー)」は、台湾のことわざ
「如虎添翼(ルゥフゥティェンイー)_虎に翼を添える」 ― 日本でいう「鬼に金棒」に近い意味をもとに生まれた造語です。
そこに、

・福島の「福」
・臺虎精釀の象徴である「虎」
・技術や芸を意味する「藝」を掛け合わせ、

両者の技術が重なり合うことで、さらに大きな力を生み出す という願いを込めました。
ロゴデザインでは、大堀相馬焼を象徴する「走り駒」と、臺虎精釀の「虎」を融合。
互いのアイデンティティが絡み合いながら前進していく姿を造形化することで、二つの文化と技術が高め合うコラボレーションを象徴しています。

プロダクトデザイン / ビアタンブラー(大堀相馬焼)


コンセプトは 「Evolution(進化)」

大堀相馬焼の最大の特徴である二重構造を活かし、優れた保温性を確保しながら、クラフトビールの香りを引き立てるフォルムを設計しました。伝統技法と現代的な機能性を融合させたプロダクトです。

デザインは、4つの窯元それぞれの個性や技法を尊重しながら展開。
そのうえで、大堀相馬焼を象徴する走り駒(馬)の立髪をイメージしたテクスチャーを取り入れ、産地のアイデンティティを造形として表現しました。

容量や基本機能は統一しながらも、各窯元の個性が際立つ設計とすることで、産地全体としてのブランド力を高める構成としています。

単なるコラボ商品ではなく、
商品を通して窯元を知り、大堀相馬焼の歴史や特徴を台湾の方々に伝える役割も担うデザインとしました。

“守る伝統”ではなく、
“進化し続ける伝統”を体現したビアタンブラーです。

クラフトビール開発 / SAKE ALE(臺虎精釀)

ビアタンブラーと共鳴するクラフトビールも同時に開発

大堀相馬焼発祥の地・福島県は、豊かな農産物に恵まれ、日本酒の名産地としても知られています。その背景を踏まえ、臺虎精釀のトップブルワーであるWinnieがレシピを設計。台湾の最高級米「池上米」と日本酒米麹を使用し、福島の日本酒文化をイメージしたクラフトビールを開発しました。

日本の文化性を感じさせる味わいでありながら、国際的なビールコンペティションでも評価を受ける完成度を実現。

単なるコラボレーション商品ではなく、
器と中身が互いの価値を高め合う設計とすることで、福島の伝統工芸と台湾の醸造技術が融合した象徴的なプロダクトへと昇華させました。

パッケージ・ラベルデザイン

ビアタンブラーは、日本の工芸品らしい佇まいを大切に、桐箱仕様で設計。
無駄を削ぎ落とした構成の中にロゴを静かに配し、プロダクトそのものの存在感が際立つデザインとしました。

クラフトビールは、日本酒文化を想起させる一升瓶ボトルを採用。
ラベルには、各窯元が制作した大堀相馬焼のテクスチャーをそのまま活かし、4窯元それぞれの個性を表現した4種展開としています。

これらのビジュアルは、臺虎精釀のアートディレクターAA氏と、セメントプロデュースデザインのアートディレクター江里によるコラボレーションによって誕生。台湾の感性と日本の工芸美が交差することで、双方の文化が響き合うデザインへと昇華させました。

器とビール、そしてパッケージ。
すべてが連動することで、“福虎添藝”というプロジェクトの世界観を一貫して体現しています。

インタビュームービー

大堀相馬焼の4窯元、そして臺虎精釀の開発担当者それぞれにインタビューを実施し、プロジェクトの背景や想いをまとめたムービーを制作しました。

単に商品を紹介するのではなく、
震災を経て歩み続ける窯元の姿勢、
新たな挑戦に向き合う醸造家の哲学、
そして異文化が交わることで生まれた対話のプロセスまでを丁寧に可視化。

“商品ができるまでの物語”を届けることで、
ユーザーがプロダクトの背景に共感し、
より深く、長く愛されるブランドとなることを目指しました。

福虎添藝は、モノづくりの結晶であると同時に、
人と人との関係性から生まれたプロジェクトであることを伝える映像です。

● interview / 日本福島・大堀相馬焼「いかりや窯」

● interview / 日本福島・大堀相馬焼「あさか野窯」

● interview / 日本福島・大堀相馬焼「近徳 京月窯」

● interview / 日本福島・大堀相馬焼「陶徳窯」

● interview / 台湾・臺虎精釀「WINNIE_HEAD BREWER」

● 福虎添藝 interview / 台湾・臺虎精釀「ROY_EVENTS MANAGER」

● interview / 台湾・臺虎精釀「AA_BRAND AND CREATIVE DIRECTOR」

ブランドサイトデザイン

福虎添藝の世界観とプロジェクトの背景を伝えるブランドサイトを制作しました。大堀相馬焼の歴史や震災後の歩み、日台コラボレーションの経緯、商品開発ストーリーまでを整理し、単なる商品紹介ではなく“物語”として伝える構成としています。写真やインタビューを交えながら、作り手の想いと文化的背景を丁寧に可視化。国内外のユーザーに向けて、福虎添藝の価値を一貫したビジュアルとトーンで発信しています。

流通/PROMOTION

日台同時オンラインメディア発表会

台湾と日本をオンラインで接続し、両国それぞれのメディアを招いた日台同時オンライン発表会を開催しました。

本プロジェクトは、コロナ禍により日台間の往来が制限されるという困難な状況下で進行しました。対面での交流が叶わない中、オンラインを積極的に活用することで、距離を越えた新しい協業のかたちを模索。結果として、両国をリアルタイムでつなぐ同時発表という、これまでにない発信の機会を創出することができました。

発表会では、大堀相馬焼の300年以上の歴史と文化、震災を経て続く挑戦、そして未来への展望までを丁寧に共有。商品が生まれるまでの背景や作り手の想いを直接届けることで、日本だけでなく台湾の方々にも深く共感していただき、ブランドのファンとなっていただく関係づくりを目指しました。

困難な状況を制約とせず、
むしろ“国境を越える対話”のきっかけへと転換した発信施策となりました。

販売プロモーション

台湾文博会、美食展、POP UP ASIA、漢神百貨店などに出展し、セメントスタッフも現地に立ち、販売・営業活動を行いました。

単に商品を並べるのではなく、大堀相馬焼の歴史や震災後の歩み、福虎添藝が生まれた背景までを直接お客様へ伝達。工芸の文脈を共有することで、単なる“器”ではなく、物語を持つプロダクトとして認知を広げる取り組みを行いました。

また、現地でのリアルな反応や顧客の声を丁寧に収集し、都度窯元へフィードバック。販売で終わらせるのではなく、市場の声を次の開発へとつなげる循環を設計することで、大堀相馬焼がさらにアップデートされ続ける動きを意識しています。

作るだけでなく、届け、育てていく。
福虎添藝は、国境を越えた“伴走型プロジェクト”として展開しました。

福島県お披露目イベント・被災地案内

コロナ禍の規制が緩和され、臺虎精釀のメンバーが来日可能となったことを受け、福島県内でメディア向けのお披露目会を開催しました。
オンラインで育んできた関係を、ようやく“リアル”で結ぶ機会となり、福島の地で改めてプロジェクトの意義と想いを共有。大堀相馬焼の現在地と未来への展望を直接発信しました。
あわせて、臺虎精釀のメンバーへ向けた相馬焼制作体験や被災地視察ツアーも実施。震災の爪痕が残る現場を訪れ、地域の歩みを体感することで、福島と大堀相馬焼への理解をさらに深めていただきました。

単なるコラボレーションではなく、
背景を共有し、文化を理解し合うことで築かれた信頼関係。
その絆は、新たな商品開発へと続く、次の挑戦の原動力となっています。

●FUKUSHIMA×TAIWAN 福虎添藝 初窯出し

●臺虎精釀メンバー窯訪問・体験会

臺虎精釀メンバー・東日本大震災被災地視察ツアー (アテンド:セメントプロデュースデザイン)

YouTube・TV取材

日本貿易振興機構(ジェトロ)による国際情報番組「世界は今 -JETRO Global Eye」で弊社の事業である「福虎添藝(フーフーテンイー)を取り上げていただきました。
——
【日本の伝統的工芸品を台湾へ!】福島の大堀相馬焼の挑戦
日本の伝統的工芸品を海外に輸出するには、どうしたらよいのだろうか。世界的にも珍しい「二重構造」の焼き物、福島の大堀相馬焼の窯元が、台湾の若者に人気のクラフトビールメーカーとタッグを組み、「二重構造」のビアタンブラーを開発した。日台融合のアイデアが詰まった製品誕生のなみなみならぬ苦労と工夫の軌跡に迫る。(2025年3月20日公開)
——
ぜひご覧ください。

福虎添藝は、
商品開発プロジェクトであると同時に、文化をつなぐ挑戦でもありました。

震災を乗り越えた福島の伝統工芸と、台湾の革新的なクラフトカルチャー。
互いの技術と誇りを尊重しながら、新しい価値を生み出す。

それは、地域の文化を“守る”のではなく、
“未来へ進化させる”取り組みです。

福虎添藝は、
文化を消費するのではなく、文化を共に育てるプロジェクトとして今後も広がり続けます。

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