
こうしてブランドへ変わった 瀬戸の“型屋”の挑戦
株式会社エム・エム・ヨシハシ
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Aichi
私たちLINKSは、グローブ製造を100%専業とし、年間約2000個を生産している野球グローブ製造メーカーです。グローブの素材は50年間変わっていないため、ひたすらに技術を研ぎ澄まし、同業他社が避けるような仕事やオーダーメイドの要望にも柔軟に対応することで確かな実績を築いてきました。
今回、私たちが抱えていた課題をきっかけにセメントプロデュースデザインさまと協働し、グローブの端材を活用した「コインケース」の開発に挑戦しました。その開発秘話や、取り組みがもたらした社内外の変化についてご紹介します。
セメントプロデュースデザインさんとの出会いは、奈良県三宅町で開催された100周年イベントでした。イベント後の食事会で、代表の金谷さんが理想のコインケースのイメージ写真を共有してくださったことがすべての始まりです。

実はこのコインケース、5年ほど前から企画していたものの、様々な職人に「できない」と断られ続けていた難題だったそうです。
しかし、その場にいた当社の若手職人が「一度やってみます」と手を挙げました。私たちはグローブ専業のため小物縫製の経験がなかったにもかかわらず、なんと2回目の試作で理想にかなり近い形を作り上げることができたのです。長年実現しなかった企画が、若手の挑戦する姿勢によって一気に動き出しました。
当社には、もちろんプロダクトデザイナーがいることはなく、社内に企画書もない状態からのスタートでした。
それでもセメントさんがイメージするような形・仕様を細かく聞き取りながら、平日の業務の間や時には土曜日に開発のための時間を設け、ひたむきに試行錯誤を繰り返しました。

約半年間、仕様を変えながら試作を続け、およそ1年をかけて製品を完成させました。
当時私たちがこの依頼を引き受けた理由の一つには、「グローブ製造で生じる端材の処分に困っていた」という背景が1番にありましたが、社員の中に「新しいことに取り組みたい」という前向きな気持ちがあったことも、プロジェクトを後押しする大きな決め手となりました。
当時のグローブ業界全体、そして当社においても「人材が残らない」という深刻な課題がありました。技術が伝承されても、若手職人が定着しにくい現状があったのです。

しかし、今回の商品開発はこの課題に対する一つの答えとなりました。
コインケースの製造は、グラブに比べるとより細かな作業が求められます。しかし、この細かな仕事をきっちりこなせるようになれば、結果的にグラブ作りにも通じる確かな技術が身につきます。
職人の技術の幅が広がり経験値がアップしたことで、若手にも「任せられる仕事」が増えるという好循環が生まれました。材料の有効活用にとどまらず、職人の育成という面でも大きな成果を得ることができました。

本商品開発は、これまでにない新たな反響を生み出しました。
完成したアイテムをきっかけに、なんとプロ野球の広島東洋カープから直接連絡がきたのです。これまで球団と直接やり取りすることはなかったため、社内でも大変驚きました。

また、商品を見た雑誌媒体から特集の取材依頼が寄せられるなど、企業の認知度やイメージの向上にも繋がっていると思います。
最後に、職人として一人前になるために必要なことは、経験であり、大事なのは「覚悟と努力」だと考えています。
私たちは物を作ることが好きだからこそ、これからもグローブ製造やコインケース製作を続けていきたいと思っています。モノづくりへの情熱を原動力に、LINKSは独自の技術を活かした挑戦をこれからも続けていきます。
