県産ジビエ推進プロモーション|やまなしジビエ

山梨県は、県土の約8割を森林が占め、世界遺産・富士山をはじめ南アルプス、八ヶ岳、奥秩父といった山々に囲まれた豊かな自然を有する地域です。
一方で、近年はニホンジカによる森林や農作物への深刻な被害(森林被害 約9,900万円/農作物被害 約3,200万円 ※令和3年度)が課題となっています。

この状況を踏まえ、山梨県では県と狩猟者が連携し、捕獲したニホンジカを肉や革として有効活用する取り組みを推進。その中で生まれたのが「やまなしジビエ認証制度」です。認証施設で厳格な基準を満たしたシカ肉のみを「やまなしジビエ」として認定し、安全で安心なジビエの提供を通じて、消費者や飲食業界の信頼を高めることを目的としています。

セメントプロデュースデザインは、この「やまなしジビエ認証制度」を一般の方々や飲食業関係者に広く知っていただくためのプロモーション活動を担当。動画制作、キービジュアル制作、フライヤー制作などのアートディレクションおよび企画立案・プロデュースを行いました。


分析/ANALYSIS

情報整理・認知度調査・ターゲット設定

まず、山梨県におけるニホンジカによる農林業被害の現状を把握するため、過去約10年分のデータを整理・分析しました。その結果、山梨県は全国の自治体の中でも早くから被害対策や資源活用に取り組んできた先進地域であることが明らかになりました。

次に、全国的にジビエに対して消費者がどのような印象を持っているのかをリサーチ。多くの方がジビエに興味を持ちながらも、「衛生面」や「安全性」への不安を抱いていることがわかりました。また、一度食べると「美味しい」と感じる人が多く、初回の心理的ハードルさえ越えれば、その魅力が理解されやすい傾向にあることも確認できました。

この結果を踏まえ、今回のプロモーションでは、“やまなしジビエ”が厳格な認証基準に基づき、徹底した衛生管理と的確な処理技術のもとで加工されていることを明確に伝えることを重視。「安心・安全」「クセが少なく食べやすい」といった実際の特長を丁寧にPRし、消費者が最初の一歩を踏み出す“きっかけ”となる情報設計を行いました。

ターゲットとして設定したのは、以下の2層です。
① 山梨県の自然やグルメ、ワインなどを楽しみたい一般消費者。
② ジビエの地産地消による地域貢献を意識し、地元ならではのメニュー開発に関心を持つシェフ・飲食店関係者。

“ジビエに対する心理的ハードルを乗り越える層”をメインターゲットに据えることで、やまなしジビエの魅力がより広く自然に拡散していくことを意図しました。

開発/DESIGN

プロモーションムービー

プロモーションムービーでは、「ターゲットの共感を呼ぶストーリー」をコンセプトに制作を行いました。ジビエに対する理解を深めてもらうため、「現状と課題」から「やまなしジビエ認証制度」の仕組みと意義を、実際の現場の流れに沿って構成しています。

映像では、「猟師」→「ジビエ解体処理施設」→「飲食店」→「消費者」という順に登場し、それぞれの立場から語られるリアルな声を通して、やまなしジビエがどのように安全で高品質な状態で届けられているのかを伝えています。

特に、「飲食店側」と「消費者側」の双方が持つ“ジビエに対する不安や誤解”を丁寧に描き、その中で生まれる共感ポイントを一つずつ紐解いていくことで、「食べてみたい」「取り入れてみたい」と感じてもらえる構成にしました。現場のリアルと人の想いを重ね、やまなしジビエの信頼性と温度感を伝えるムービーに仕上げています。

キービジュアル

山梨県を象徴する富士山の麓を舞台に、雄大な自然の中で育まれたニホンジカの命と恵みをテーマに、シズル感あふれるキービジュアルを制作しました。やまなしジビエは“自然の循環から生まれた恵み”であり、決して蔑ろにせず、命に対する敬意をもっていただくという想いを、ビジュアル表現の中に込めています。

また、全国各地で展開されているジビエ関連のポスターやプロモーション事例をリサーチし、そこからの差別化を意識。山梨県の豊かな自然とジビエ文化の独自性が際立つよう、他地域にはない力強さと品格を併せ持ったデザインに仕上げました。

プロモーションブック・フライヤー

「やまなしジビエ」をより広く、わかりやすく伝えるために、プロモーションブックとフライヤーを制作しました。ブックでは、山梨県におけるニホンジカによる害獣被害の現状や、県が進める対策・認証制度の仕組みをビジュアルとともに整理し、やまなしジビエが“安心・安全な食材”であることを訴求しています。

また、シェフによるインタビューページを設け、実際にやまなしジビエを取り扱う飲食店の声を紹介。ジビエに対して「臭みがある」「扱いが難しい」といったマイナスイメージを持つ飲食関係者や消費者に対し、現場のリアルな体験談を通してその魅力と可能性を伝える構成としました。

フライヤーは、やまなしジビエ認証制度の概要やロゴ、提供店情報などをコンパクトにまとめ、イベントや飲食店などで手軽に配布できるツールとして展開。ブック・フライヤーともに、ブランドの信頼性を高めると同時に、新規店舗への導入促進と消費者認知の拡大を目的としています。

やまなしジビエ認証マーク

「やまなしジビエ認証制度」は、山梨県内で捕獲されたニホンジカの肉を衛生的かつ安全に処理し、信頼できるジビエとして提供するための県独自制度です。県が定める基準を満たす施設で加工された鹿肉のみが「やまなしジビエ」として認証され、消費者へ安心を届けます。

この制度の認証マークは、自然の恵みとジカへの敬意を円状に表現し、中央には太陽を象徴する放射線とニホンジカのシルエットを配置。そのシルエットの中に山梨県の形をさりげなく組み込み、「山梨ならではのジビエ文化」であることをデザインで訴求しています。

さらに本マークは、ブランド「URUSHINASHIKA(ウルシナシカ)」で弊社がデザインしたロゴをベースに設計されており、既存のデザイン資産を活かしながら制度の顔として仕上げました。

セメントプロデュースデザインは、今回の「やまなしジビエ」プロジェクトのほか、山梨県で捕獲されたニホンジカの革を有効活用する仕組み「URUSHINASHIKA(ウルシナシカ)」のプロデュースにも携わっています。さらに、そのウルシナシカを用いたプロダクトブランド「SAIKA(サイカ)」の開発と販売も行っています。今後は、お肉(やまなしジビエ)と革(ウルシナシカ)を一体として活用し、命を無駄にしない循環の仕組みを伝えるプロモーションを、山梨県と共に進めていきたいと考えています。

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