
「下請け」から「誇りを持てるものづくり」へ。
株式会社丸山ステンレス工業
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熊本県にて半導体や有機ELなどのステンレス部品精密板金加工の下請けを行なっている株式会社丸山ステンレス工業様のコーポレートブランディング、自社アウトドアブランド“STEN FLAME”の企画、商品開発からEC設計、プロモーションまで多岐にわたるプロジェクトをご紹介します。

弊社代表の著書との出会いをきっかけに、ブランディングを全面的に弊社と進めてゆくことになりました。次の世代のためにも下請けの仕事だけではなく、新規事業を作りたい。そんな想いから自社商品の開発がスタートしました。



自社技術、業界競合などの動向について約半年をかけてヒアリング。導き出された精密板金や半導体を活かした技術をベースに、職人の一手間の価値を付加した自社商品開発を新規事業として目指すことに。
当時記憶にも新しかった、熊本の噴火などによる停電や自然災害時でも、誰でも簡単に扱えるアウトドアブランド「ステンレスが生み出す希望の灯」をコンセプトに設計。ドッグタグのように、ロゴがそのまま商品シリーズのエンブレムになるようにデザインしました。

焚き火台として、グリルとしても使え、人々の希望の灯になるようにという願いを込めた、町工場だからこそできる職人による一手間の技術が詰まった「Bonfire Grill」を第一弾として開発がスタート。


従来の焚き火台は組み立てが必要、持ち運びや場所を選ぶと言う課題があったため、誰でも気軽に使用でき、持ち運びもしやすいように、取っ手付きの形状から検討を始めました。使用シーンをイメージしながら、片手で軽やかに持てるバランスと、安全に運べる強度を両立させています。


次に、焚き火を楽しむ時間をより豊かにするため、炎が美しく見える抜き穴のデザインを考案しました。レーザーカットによって精密に施されたその穴は、単なる装飾ではなく、空気の流れを整えて火に十分な酸素を供給する役割も兼ね備えています。何十回にもわたる検証テストを経た結果、燃焼効率が高まり、安定した炎を長く楽しめる構造になりました。抜き穴のモチーフには、熊本県の県花である「リンドウ」を採用。土地を象徴する花のシルエットを金属に写し取ることで、アウトドアに自然の気配をそっと添えるデザインに仕上げています。

さらに天面には、グリルプレートと専用の網掴みを付属。焼く・煮込むといった調理にも対応し、焚き火台としてだけでなく、手軽にBBQを楽しめる多用途なアウトドアギアとして仕上がりました。このプロダクトは後にクラウドファウンディングで発表することになります。
第二弾として取り組んだのは、板金加工の技術を最大限に活かした、組み立て式のミニ焚き火台の開発です。携帯性と実用性を両立させるため、薄い金属板を精密に切り出し、現場で工具を使わず短時間で組み立てられる構造を目指しました。コンパクトながら焚き火の風景をしっかりと楽しめる、新たなアウトドアギアとしての挑戦です。



その特徴は、わずか6つのパーツに分かれる組み立て方式。工具は一切必要なく、パーツを差し込むだけで安定した形状が立ち上がるよう設計しています。持ち運び時にはポケットに収まるほどの大きさと薄さを実現し、アウトドアシーンにおける携帯性を大きく向上。部材点数を抑えることで、製造コストの低減にもつながっています。


使用時には、焚き木を安定して入れられるよう側面にスリット状の開口を配置。さらに、本体内部にはアルコールストーブを収めて使用することも可能で、焚き火・ストーブの両方に対応する柔軟な設計になっています。コンパクトながら火力は十分で、焚き火台同様、簡単な調理にも対応。携帯性と実用性を両立させた、小さくても頼もしい焚き火台として仕上げました。
シリーズ第三弾として開発したのは、大人数でのグランピングやキャンプファイヤーを盛り上げる大型焚き火台です。初代モデルで好評だった機能性やデザイン性はそのままに、よりダイナミックで迫力のある炎を楽しめるサイズへとスケールアップしました。



天面には大きめの鍋やダッチオーブンにも対応できる網プレートをご用意し、豪快なグリル料理や本格的な煮込み料理など、アウトドアでの食の楽しみを一層広げています。仲間と囲む火の時間を、より豊かに、より特別なものにする一台です。

また、本体下部にはピザなどを温められる簡易オーブンの開口部を設計。焚き火の熱を効率よく取り込んで食材をふんわり温められるだけでなく、地面への熱ダメージを軽減する“底上げ構造”としても機能します。

キャンプサイトの中心に据えたくなる存在感と、多人数で囲んで楽しめる使い勝手を兼ね備えた、シリーズの集大成といえる一台です。
シリーズ第四弾は、アウトドアでの一杯を特別な時間に変えるコーヒードリッパー。STEN FLAME LIGHT で好評だった組み立て式構造を継承し、薄くフラットに収納できる携帯性を実現しました。キャンプではもちろん、自宅での日常使いにも馴染むよう、アウトドアでも、室内でも使いやすいデザインに仕上げています。




STENFLAME DRIPは、誰でも美味しく簡単にコーヒーを淹れることができるよう設計するため、 Un Cafe Sucre(株)楡井様と共同開発した製品です。抽出スピードや湯の落ち方、味わいのバランスまで丁寧に検証し、板金加工ならではの精度で微細な調整を行いました。その結果、どこでも安定した抽出が楽しめる本格派のドリッパーが完成しました。



特に注力したのは「お湯の抜け具合」です。本体の抜き柄と最下部のリブ開口の度合いを何度も調整し、湯流れを精密にコントロールできるよう設計。これにより抽出中の滞留や勢いすぎを防ぎ、誰が淹れても安定しておいしい一杯が得られるようになっています。フォルムは円形に近い六角形を採用し、湯を注ぎやすい形状に整えました。ペーパーフィルターは市販のハリオ円錐フィルターが程よくフィットするよう寸法を最適化しているため、屋外でも家庭でも違和感なく使用できます。

さらに専用のドリッパースタンドを用意。安定した抽出を実現するほか、横に回転させれば第二弾のミニ焚き火台がすっぽり収まり、簡易コンロとしても使える多機能性を備えます。焚き火で過ごす時間の締めくくりに、あるいは室内での日常の一杯にも寄り添う、実用性と美味しさを両立したプロダクトです。

シリーズ第五弾は、これまでのアウトドアギアから一転、暮らしに寄り添うバナナスタンド。このプロダクトは、同社が所在する山鹿市の果物店との出会いがきっかけで誕生しました。創業から60年以上山鹿で愛されてきた「かきやま果実」を現オーナー : 柿山佳津樹さんが受け継ぎ、2022年リニューアルオープンした「CAFE BANANA」。この店の常連だった株式会社丸山ステンレス工業代表取締役社長 : 丸山 良博さんとの出逢いをきっかけに、“地元山鹿の魅力を多くの人に知ってもらいたい”と地域性を活かした商品開発がはじまりました。




本体は工具いらずの簡単組み立て式。板金加工の精度を最大限に活かした3枚連結フック構造によって、高い安定性を保ちながら、“組み立て式とは気づきにくい”スマートな仕上がりを実現しました。また、国内で広く流通しているバナナ品種 「キャベンディッシュ」 の茎サイズに合わせて設計した「一本吊り用切り欠き」を採用。吊り下げる角度が最適化されているため、バナナを美しく、そして美味しく保存できるよう工夫されています。(※キャベンディッシュ種を基準に設計)。


さらに今回は、ツリー型とフック型の2種類を展開。フック型は、先端のフックを付属のパーツに付け替えることで、ランタンフックとしてアウトドア仕様に早変わり。室内ではバナナスタンドとして、屋外ではギアとして機能する、汎用性の高い構造となっています。キッチン・ダイニングに馴染む柔らかな存在感と、アウトドアにも溶け込むミニマルなデザイン。機能性と造形美、そして地元愛が結びついた、新しい暮らしの道具です。二人の想いが詰まった“STENFLAME”バナナスタンドが熊本への架け橋となり、地域活性化に貢献することを私たちは目指しています。
2025年。これまで十分に取り組めていなかったコーポレートブランディングに、ようやく本格的に着手することができました。会社としての軸を明確にし、未来へ向けた歩みをもう一度見つめ直すタイミングが訪れました。



同社のコーポレートブランディングを進めるにあたり、まず取り組んだのは、社内スタッフとともに「自社を象徴するキーワード」を改めて洗い出すことでした。壁打ちを重ねる中で浮かび上がってきたのは、ものづくりに真摯に向き合うまっすぐな姿勢と、現状に甘んじることなく未来へ挑み続ける意志。この価値観こそが同社の原動力であり、長年受け継がれてきた文化であることを再確認しました。

この核となる想いを言葉として結晶化させたのが、今回のコーポレートメッセージです。CORPORATE MESSAGE「ずっと錆びずに。もっと真っ直ぐに。」 創業の地・熊本県山鹿市で1973年から続く歩みの中で育まれてきた、「錆びない品質への意志」と「より良い未来へ真っ直ぐ進む姿勢」を、端的かつ力強く表現した言葉として採用しました。



メッセージ策定と並行して、ブランドの象徴となるロゴデザインも開発しました。新しいロゴは、同社の核である精密板金加工の技術を象徴する“パーツのフォルム”をモチーフにしつつ、Maruyama Stainless の頭文字を内包した構造としています。さらに、シルエットには本社所在地・山鹿市の山並みと工場の姿を重ね、地域に根ざした技術基盤と誇りを表現しました。また、このフォルムは未知数を示す「X」にも重なり、境界を超えて進化し続ける企業姿勢を象徴しています。ロゴカラーも刷新「MARUYAMA BLACK」とし、精密で高品質な板金加工を支えてきた“確かさ”と“揺るがぬ信頼”の象徴。誠実さ・実直さを礎にしながら、新たな領域へ挑む姿勢を体現するデザインとなりました。
さらに2026年にかけて、コーポレートサイトリニューアル、社内CIツール展開、経営課題への取り組みについて継続進行しますので、その模様は追って記事化いたします。
プロダクトをより多くのお客様へ届けるため、ECサイトの構築にも取り組みました。初期コストを抑えつつ、スピーディに販売開始できる仕組みが求められたことから、運用のしやすさに優れた BASE を採用。社内スタッフが自ら商品登録や情報更新を続けていけるよう、無理のない管理フローを前提に設計しました。オンラインショップの開設によって、STENFLAMEシリーズの販売導線が整ったことで、プロダクトラインナップも次第に拡充。第一弾・第二弾だけでなく、グランピング向けの大型モデルやコーヒードリッパー、バナナスタンドなど、ものづくりの広がりに合わせてシリーズ展開を強化していきました。このECサイトの構築は、ブランドにとって「自らの手で届ける」体制を整え、ユーザーとの距離をさらに近づける大きな一歩となりました。

第一弾プロダクトであるSTENFLAMEでは、東京インターナショナル・ギフトショー内「アクティブクリエイターズ」に出展しました。これが同社にとって初めての展示会出展となり、会期中には多くの来場者に製品の魅力を直接伝える貴重な機会となりました。現地では、これまで接点のなかった業種・販路の方々と名刺交換が行われ、新たな取引先候補とのつながりや、これまでにない販路開拓へとつながるきっかけを得ることができました。STENFLAMEは、単なる初号機としてだけでなく、丸山ステンレス工業が社外に向けて歩みを広げる“最初の一歩”となったプロダクトでもあります。


続いて挑戦したのが、クラウドファンディング MAKUAKE でのプロジェクト公開でした。製品開発の背景や想いを丁寧に発信する取り組みが注目を集め、テレビ番組 『ガイアの夜明け』 に取り上げられたことも後押しとなり、結果として**目標金額達成率 1186%**という大きな成果を収めることができました。

この結果は、社内にとっても大きな意味を持つものでした。これまで積み重ねてきた活動が「本当に価値のある取り組みだったのだ」と実感でき、スタッフにとって大きな励みとなり、モチベーションの向上にも直結しました。また、このブランドづくりへの挑戦姿勢に共感し、「こういうものづくりを一緒にしたい」と入社を希望する新たなスタッフも現れるなど、採用面にも良い波及が生まれました。単なる数字以上に、“会社の未来を変えるひとつのターニングポイント”として社内に深く刻まれる出来事となりました。
ブランドの認知が高まるにつれ、OEMの相談や流通先の拡大も加速していきました。地元・熊本のアウトドアショップをはじめ、県内外の小売店、蔦屋書店など取り扱いが広がり、さらに熊本空港での採用や、熊本のホテルでの名入れOEM対応など、これまでにない業態への展開も進みました。特にホテルでのOEM採用は、地域の魅力を伝えるアメニティやギフトとして評価され、地元企業との結びつきをより強固なものにしています。こうした広がりは、製品自体の価値だけでなく、丸山ステンレス工業が積み重ねてきた“誠実なものづくり”が共感を呼んでいる証でもありました。OEM対応や販路の拡大は、同社の製品をより多くの人の手に届けるきっかけとなり、ブランドとしての存在感を確実に高めるステップとなっています。


象徴的な導入例として挙げられるのが、亀の井ホテル阿蘇での採用です。ホテルのアウトドア体験の質を高める取り組みの一環として、柄部分にホテルロゴをあしらった名入れOEM仕様を製作。また、大型のキャンプファイヤー演出には、シリーズ第三弾の大型焚き火台 「STENFLAME GLAMP」 が採用され、宿泊者が焚き火を囲んで楽しむ特別な体験づくりに活用されています。


OMO5 熊本でも第一弾・第二弾プロダクトが採用されました。ホテルのバルコニーや夜間の食事シーンにおいて、STENFLAMEシリーズの造形と光の演出性が評価され、内部にLEDキャンドルを入れてのライティング演出として活用されています。焚き火台としての機能だけでなく、光を透かす抜き柄の美しさや、炎をイメージさせる陰影が空間を柔らかく照らし、ゲストに特別な夜のひとときを提供。アウトドアギアでありながら、ホテルの演出アイテムとしても存在感を発揮しています。OMO5 熊本での採用は、丸山ステンレス工業のプロダクトが、単なる道具としてではなく空間価値を高める“演出の一部”として機能することを示す象徴的な事例となりました。
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