船凍天然エビ加工会社|Rebranding Project

大阪府摂津市に拠点を構える株式会社パプアニューギニア海産は、パプアニューギニア近海で漁獲・凍結された「船凍(せんとう)天然エビ」を取り扱い、薬品や添加物を一切使わず、すべて手作業で加工・販売している冷凍エビ加工会社です。

創業から30年以上にわたり、大切にしてきたのは「余計なものは加えず、自然のままを届けること」。そして「働く人が心地よく働けること」。
業界では珍しい“フリースケジュール制”など、独自の働き方の実践でも注目されています。

今回のブランディングプロジェクトでは、同社がこれまで丁寧に育んできた想いや姿勢を、パッケージやビジュアル、コピー、Webデザイン、プロダクトなど、すべての接点で一貫して伝えるための再構築を実施。

「エビのことを考えすぎて頭から離れなくなった人」をモチーフにしたキャラクターをキーアイコンに、“エビオタク集団”というユニークな世界観を構築。
冷凍天然エビというカテゴリの中でも際立つ、親しみとこだわりが共存するブランド体験を目指しています。

分析/ANALYSIS

情報整理

見えていなかった“本当の価値”を可視化する

プロジェクトの起点は、パプアニューギニア海産という企業のあり方と、商品の背景に宿るこだわりの“答え合わせ”から始まりました。

同社は、パプアニューギニア産の天然エビを30年以上にわたり取り扱い、薬品や添加物を使わずにすべて手作業で加工している稀有な存在です。
また、「フリースケジュール制」や「上下関係のない現場」など、独自の働き方でも注目を集めています。

しかしながら、その本質的な魅力――たとえば、
・商品に込められた“余計なものは加えない”思想
・徹底された衛生管理と品質のための工程
・働く人の幸せを大切にする組織文化
といった価値は、まだ十分に可視化されていない状態でした。

まずは企業・商品・組織の現在地を整理し、「本当に伝えるべきこととは何か?」を明確にするところからブランディングはスタートしました。

コンセプト設計

“エビオタク”が届ける、真心のかたち

ヒアリングや対話を通じて浮かび上がったのは、エビに対して圧倒的な愛とこだわりを持つ、社長・武藤さんの存在です。
そこで生まれたブランドコンセプトが、
“エビオタク”集団による 真心込めてお届けする ありのままのパプアニューギニア産天然エビ
というフレーズでした。
この言葉を軸に、パプアニューギニア海産がこれから目指すブランドのかたちを設計。
・天然エビのおいしさで“尖ったポジション”を取ること
・働き方や組織のカルチャーづくりといった背景も含めて伝えること
・ギフト市場やエビフライ専門店など、今後の事業展開にも接続する未来像を描くこと
これらを統合的にデザインへ反映していく方向性を固めました。

競合分析

“冷凍エビ”ではなく、“パプアさんのエビ”で差別化する

冷凍天然エビや海産物ギフトのEC市場は、無添加・手作業・オーガニックといったキーワードがすでに一般化しており、情報が飽和しがちです。
そこで改めて、競合・類似ブランドをリサーチし、パッケージ・コピー・ビジュアル・商品ラインナップなどを比較。

その中で見えてきたパプアニューギニア海産の差別化ポイントは、
・“味”に対する自信と明確な強み
・働く人や現場の哲学までに踏み込んだストーリー性
・社長自身が体現する「エビオタク」というユニークな存在感

これらを武器に、ありきたりな“冷凍エビブランド”ではなく、「あの会社のエビだから買いたい」と思わせるブランドを目指す戦略を設計しました。

開発/DESIGN

パッケージデザイン

見せたいものは「エビ」そのもの

真空パウチ包装で販売される冷凍天然えびの商品パッケージに対して、もっとも大切にしたのは“中身=エビそのもの”の見え方。シールラベルの貼付位置については、商品棚での視認性や、ギフトでの受け取り時の印象、そして何よりエビの鮮やかな色味が美味しそうに見えることを基準に検討しました。店頭に並んだときの佇まいを考慮し、極力えびを隠さず、視覚的にフレッシュさが伝わる配置としています。


シンボルは、“エビのことを考えすぎて頭から離れなくなった人”

デザインとして採用されたのは、コンセプト「“エビオタク”集団による真心込めてお届けする ありのままのパプアニューギニア産天然エビ」を象徴する、イラスト中心のグラフィック案。
主役は、“エビのことを考えすぎて頭から離れなくなった人”。モデルはもちろん、パプアニューギニア海産の代表であり“エビオタク”の武藤北斗さんです。ユーモラスでありながら、強烈に印象に残るこのキャラクターが、パプアニューギニア海産の“想いとこだわり”を一尾ごとに届けます。




色展開で見せる「自由さ」と「思いやり」

ラベルデザインでは、視認性と個性の両立を図るため、カラーのバリエーションを複数パターン設けました。いずれのカラーも「大切にするポイント」として共有された項目——エビの鮮度・人の想い・自然への配慮——を損なわない、安心感と清潔感、そしてやさしさのあるトーンで構成しています。手に取った人が「これはちょっと違う」と感じてくれるような、新しい冷凍えびのあり方を提示するデザインです。

ギフトボックスデザイン

「エビオタクの頭の中」をギフトに宿す。

ギフトボックスのパッケージデザインは、パプアニューギニア海産の象徴でもあるキャラクター「エビのことを考えすぎて頭から離れなくなった人」を大胆にフィーチャーし、ブランドの世界観を全面に押し出しました。

ボックス全体には「えび」「エビ」「EBI」の文字を天面・側面にリズミカルに配置。これは、“エビオタク”の脳内でエビがあふれかえる様子を視覚化したもので、見た瞬間にクスッと笑えるユーモアと熱量が同居するデザインです。

受け取った人にも、贈る人にも「なんだこれは?」と笑いと驚きを与えつつ、封を開ければ本気のエビがお目見えする。そのギャップも含めて、楽しい“エビ体験”となることを意図しています。

美味しさと想いを、遊び心とともに届ける。
このギフトボックスには、そんな願いが込められています。

Tシャツデザイン

“エビオタク”を着るという体験

ブランドの世界観に連動し、Tシャツもパッケージやギフトと同様に「エビのことを考えすぎて頭から離れなくなった人」を前面に押し出したデザインに。
キャラクターの周囲に「えび」「エビ」「EBI」といった文字が無数に乱立し、エビオタクの頭の中でエビが渦巻いている様子をユーモラスに表現しました。

ただ面白いだけではなく、“天然エビへの愛が止まらない”というパプアニューギニア海産の本気度が伝わる1枚。
スタッフユニフォームやギフト同梱アイテムとしての活用も見据え、「着ることでブランドに共感できる体験」を意識しています。

ECサイト兼コーポレートサイトデザイン

“エビオタクの愛があふれる、唯一無二のブランド体験へ。”

既存のECサイトをフルリニューアルし、企業のコーポレート要素を統合。単なる販売ページにとどまらず、ブランドの哲学や生産背景、働き方の思想までをしっかり伝える設計へとアップデートしました。

本サイトは、パプアニューギニア海産が大切にする「エビへの愛情」「産地への敬意」「働き方」「食卓に届くまでの責任」すべてを一貫して伝えることを目指し、「エビオタク」たちによる“真心込めた天然エビ”というコンセプトを軸に構築されています。

冷凍天然エビというジャンルの中で、味と思想の両面で他社と差別化するために、徹底した競合調査とブランドコンセプトの再定義を行い、ユニークで記憶に残る世界観を構築。「エビのことを考えすぎて頭から離れなくなった人」をキャラクターとした独自のビジュアル表現により、親しみとインパクトを両立させています。

また、エビのサイズ比較など、購入時に重要となる情報も丁寧に配置。UI/UX面でも、初めての訪問者が商品の魅力とこだわりを自然に理解できるよう設計しました。

ECサイトはこちら(https://pngebi.shop/

「エビオタクの愛」で、もっと強く、もっと広く。

今回のプロジェクトを通じて、パプアニューギニア海産の“ありのままの魅力”と“エビへの真心”を丁寧に言語化・可視化し、ブランドとしての基盤を築くことができました。しかし、ここがゴールではなく、むしろスタートライン。ECサイトのコンテンツ拡充や世界観の磨き込み、商品ラインナップや販路の広がりに応じたUI/UX改善など、まだまだ「伝えるべきこと」「伸ばすべきこと」はたくさんあります。わたしたちはこれからも、パプアニューギニア海産と共に歩みながら、エビの魅力をもっと楽しく、もっと本気で、そしてもっと多くの人に届けていきたいと思います。

天然エビのおいしさと、作り手の想いがぎゅっと詰まったオンラインストア。
ぜひ一度、その“エビ体験”をご自身の食卓でお楽しみください。

 https://pngebi.shop/

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