神奈川県 金型技術を活かした知育ブランド開発|KURABELANCE

神奈川県横浜市で金型製造・金属加工を行う有限会社大高製作所さまとともに、知育メタルバランスゲーム「KURABELANCE(クラベランス)」のブランド立ち上げを行いました。
仮想やデジタルが加速する時代だからこそ、「実際に触れ、重さを感じ、比べる」アナログ体験を大切にしたい。
そんな想いから生まれた、親子で学べる金属製のバランスゲームです。
セメントプロデュースデザインは、企画・ブランドネーミング・ロゴ・プロダクトデザイン・パッケージデザイン・リーフレット設計まで一貫して担当しました。

分析/ANALYSIS

市場分析

知育玩具・バランスゲーム市場には、
カラフルでキャラクター性の強い商品や、価格訴求型のアイテムが多く存在しています。「かわいい」「安価」「遊んで楽しい」商品はすでに市場に溢れており、
単なる“デザイン性の高いバランス玩具”では埋もれてしまう状況でした。
そこで私たちは、既存の“積む遊び”に対して、
もう一段階の意味を与える設計を考えました。
それが、

「積む(バランス)」×「重さを知る」

という視点です。
視覚的なバランスだけでなく、
“重さそのものを体験する”ことを価値に転換することで、
単なる玩具ではないポジションを確立しました。

企画背景 ― なぜこのおもちゃが生まれたのか

大高製作所は、0.01g単位で精度を制御できる
ダイカスト金型技術を持つ企業です。
本来は工業製品の部品を正確に量産するための技術ですが、
その精巧な技術を「子どもたちが触れられる形」にできないか。
そこからこのプロジェクトは始まりました。

・金属の“本物の重さ”を実感する
・数値ではなく体感で比率を理解する
・親子で会話が生まれる
・生態系や世界のバランスを考えるきっかけになる

遊びの中に、技術と社会的意義を織り込んだ知育プロダクトとして
KURABELANCEは誕生しました。

ターゲット設計

CORE TARGET
小学生の子どもを持つ、感度の高い30代女性(母親)
・インテリアに馴染む上質なデザインを好む
・「本当に良いもの」を選びたい
・子どもに“意味のある体験”をさせたい

SUB TARGET
・小学生(中高学年)
・教育現場(教材活用)

“おしゃれな玩具”であることと同時に、
家庭や教育現場で活用できる知育ツールとしての価値も設計しています。

ブランドアイデンティティ

KURABELANCEは、
「あらゆる重さを比べながら学ぶ」
という体験を核にしたブランドです。

・0.01g単位の精度技術
・動物や人間の実際の体重比率を反映
・インテリアとして成立する佇まい
・ギフトにも選ばれる存在感

さらに、

・金属加工業界の担い手不足という社会課題
・地域産業(横浜)の技術発信

といった背景も踏まえ、
子どもが金属と出会う入口をつくるブランドとして設計しています。

コンセプト設計

大高製作所の精巧な金属技術を使って、
重さを比べることで世界を学ぶ知育プロダクト。

KURABELANCEは、
動物や人間の体重比率をもとに重量設計されたオブジェを
天秤にのせて比べるバランスゲームです。遊びを通じて、

・重さの概念
・比率の感覚
・世界のバランス
・生態系の関係性

を直感的に体験できる構造へと昇華させました。

洗練された造形はオブジェとしても成立し、
“片付ける玩具”ではなく
“暮らしの中に置いておける知育プロダクト”を目指しています。

開発/DESIGN

ブランドネーミング

「KURABELANCE(クラベランス)」は、
・くらべる(Compare)
・バランス(Balance)
を掛け合わせた造語。
“重さを比べる”という遊びの本質と、
自然界や人間社会の「バランス」を重ねた名前です。

ロゴデザイン

ロゴマークは、
・動物の顔にも見える
・天秤のシルエットにも見える
両義性を持たせたデザイン。

絶滅危惧種をモチーフとするプロダクト性と、
バランスゲームという機能性を、ひとつの記号に統合しています。

シンボルとタイポグラフィをミニマルに構成することで、
教育玩具でありながらもインテリア性を損なわない佇まいを目指しました。

プロダクトデザイン

絶滅危惧種をモチーフにした造形
モチーフは、
・アフリカゾウ
・クロサイ
・マウンテンゴリラ
・ヒト
すべて絶滅危惧種を題材にしています。

単なるシルエットではなく、
重さ・体格差・生態系の関係性を感じられる設計に。

動物たちは実際の重量バランスを参考にしながら設計され、
遊びながら「重さの違い」を体感できる仕様です。

丸みと尖りを両立したフォルム
プロダクトは、
・金属の精度感を活かしたシャープさ
・手に取ったときに心地よい丸み
を両立。

鋭さと優しさを共存させることで、
「工業製品」と「知育玩具」の間を行き来する独自の存在感をつくっています。

バランスゲームの仕組み
パッケージ自体が天秤構造になっており、
左右バランス前後左右バランス2通りの遊び方が可能。
さらに、重さ比べインテリアとして飾る金属オブジェとして楽しむなど、複数の使い方ができる設計です。

パッケージデザイン

KURABELANCEのパッケージは、
「組み立てて天秤になるパッケージ」というコンセプトで設計しました。

本来であれば開封後に廃棄されてしまうパッケージを、
バランスゲームの“天秤”としてそのまま使用できる構造に。

パッケージをプロダクトの一部として機能させることで、

  • 無駄を出さない
  • 捨てないという選択肢をつくる
  • 環境配慮を体験として伝える

設計としています。

素材には、FSC認証のピュアボードを採用。
森林の生物多様性を守り、地域社会や労働者の権利に配慮した適切な管理のもと生産された資材であることを示すことが可能です。

グラフィックは、金型製造時に生まれる“ランナー”をモチーフにデザイン。
金型屋がつくったプロダクトであることを視覚的に示しながら、ランナーの流れを生態系や動物同士のつながりにも重ねています。

このプロダクトをきっかけに、

  • 動物や絶滅危惧種への関心
  • 生態系のつながり
  • 環境問題への意識

が自然と芽生えることを願っています。

パッケージは単なる外装ではなく、
思想を伝えるメディアであり、遊びの一部でもある存在です。

リーフレットデザイン

ブランド全体の思想と背景を伝えるためのツールとして、リーフレットを制作しました。

内容は、

  • KURABELANCEが生まれた背景
  • 大高製作所の技術力
  • 重さを学ぶというコンセプト
  • 絶滅危惧種をモチーフにした理由
  • 環境や社会課題とのつながり

など、ブランド全体を網羅。

バイヤーだけでなく、実際に手に取る消費者の方々にも
「なぜこのプロダクトが存在するのか」がしっかり伝わる構成としています。

写真や図解を交えながら、
専門的になりすぎず、しかし思想は薄めない。

技術・知育・環境という複数の軸を、
一冊の中でわかりやすく整理した設計です。

取扱説明書デザイン

取扱説明書は、単なる“遊び方の説明書”ではありません。

本プロダクトのモチーフとなっている

  • マウンテンゴリラ
  • クロサイ
  • アフリカゾウ

を紹介する

「絶滅危惧種のどうぶつ図鑑」

というコーナーを設けています。

それぞれの動物の特徴や生態、置かれている状況を
イラストを交えながらわかりやすく解説。

  • なぜこの動物をモチーフにしたのか
  • どんな環境で生きているのか
  • なぜ守る必要があるのか

を、親子で読みながら学べる構成としています。

もちろんバランスゲームとしての遊び方も丁寧に説明していますが、
目的は“正しく遊ぶこと”だけではありません。

遊びをきっかけに、

  • 生態系
  • 重さの比率
  • 世界のバランス

へと自然に思考が広がる設計になっています。

KURABELANCEは、
金属加工技術という“産業の強み”を、
未来世代へとつなぐプロジェクトです。

遊びながら、

  • 重さを知る
  • バランスを考える
  • 生態系を学ぶ
  • ものづくりに興味を持つ

そんなきっかけになるプロダクトを目指しました。

セメントプロデュースデザインは、
「つくる」だけでなく、「意味を設計する」ことを大切にしています。

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