
大阪 氷削機ブランド「SWAN」シリーズ 新プロダクトデザイン |aile SI-170A
池永鉄工株式会社
Works
Branding
台湾・花蓮県は、世界的にも評価の高い大理石の産地です。
しかしその石材は主に建築用途として使われることが多く、
生活者の日常とは少し距離のある存在でもありました。
そこで私たちは問いを立てました。
「石を、食卓の道具として再定義できないか。」
台湾・花蓮県の石材資源産業研究開発センターと共に立ち上げた
台日共同プロジェクト
「SISI(しし) ― 從產地到餐桌(産地から食卓へ)」。
花蓮県の石材と、日本・台湾それぞれの食文化を掛け合わせ、
産地の素材を“暮らしの中で使われるもの”へと転換することを目的としています。
本プロジェクトは、花蓮県の大理石メーカー「鎮一大理石」、
食品メーカー「カメヤ食品株式会社」、
金属加工の「ササゲ工業株式会社」、
そしてセメントプロデュースデザインの4社による共創です。
セメントプロデュースデザインは、
企画立案から商品開発ディレクション、デザイン、イベント企画、企業アテンド、プロモーションまで一貫して担当しています。



■ 石材の再定義という視点
花蓮県は豊かな石材資源を持ちながら、
その価値は主に建築分野で消費されてきました。
またプロジェクト進行中には花蓮で地震が発生。
建材として使用が難しくなった石材も生まれました。
そこで私たちは、
を廃棄物として扱うのではなく、
“価値転換の起点”として再活用することを構想しました。
石を守るのではなく、
石を使うことで未来につなげる。
その思想がSISIの出発点です。


ブランド名「SISI」は、
台湾と日本をつなぐプロジェクト名であると同時に、
日本語の「いし(石)」とも読める造語です。
ロゴはその意味を視覚化するため、
文字を縦方向に傾けて配置することで、
漬物石の縦長フォルムを想起させるシルエットへと構成しました。
さらに、アルファベットの“SISI”を変形させることで、
ひらがなの「いし」にも見える造形へとデザイン。
台湾と日本、
石材と食文化、
素材と日常。
それぞれが重なり合い、ひとつの形になる様子を、
タイポグラフィそのものに落とし込んでいます。


■ プロダクト開発 ― 漬物石という再解釈
コンセプトは
「産地から食卓へ」
大理石の重みと安定性を活かし、
食卓で使われる“漬物石”として再設計しました。
石の部分は 鎮一大理石 が担当。
砕石所で切り落とされる端材や、地震の影響を受けた石材を活用しています。それが感じられるように、商品の天面部分は綺麗に切り落としていないあえてゴツゴツしたsそのままの石の造形を残しています。
ベース(器)部分は ササゲ工業株式会社 が制作。
酸化発色による加飾を施し、金属でありながら温度を感じる質感を実現。
石との対比によって、静かな緊張感のある佇まいをつくりました。







■ 食のパートナーとの共創
食品開発では カメヤ食品株式会社 と連携。
漬物石の試作段階から、
を重ねました。



■ 4社による共創設計
本プロジェクトは、
それぞれの専門性が横断的に交わることで成立しています。
単なるOEMや外注ではなく、
互いの技術と思想を尊重し合う共創プロジェクトとして設計しました。







静岡県三島・伊豆地域は、富士山の伏流水に育まれた豊かな農産物の産地です。
本プロジェクトでは、地元産の摘果メロンを活用し、台湾の食文化に合わせた新しい漬物を開発しました。
台湾産の唐辛子を加えることで、
日本の漬物技術と台湾の味覚を掛け合わせた「唐辛子メロン漬」が誕生。
製造はカメヤ食品株式会社が担当。
長年培ってきた漬物加工の技術を活かし、
爽やかな甘みと程よい辛味が調和した、夏にぴったりの味わいに仕上げました。
摘果によって通常は市場に出ないメロンを活用することで、
フードロス削減という視点も取り入れています。
石の器で漬けるという体験とともに、
日台の食文化を一皿に表現したプロダクトです。





SISI ― 從產地到餐桌(産地から食卓へ)は、
単なる商品発表ではなく、文化体験として届けることを重視しました。
2024年8月、台湾・台南市のレストラン
「聚聚台南店 燒鳥専門 おちば屋」にて商品発表会を開催。
花蓮県の大理石メーカー鎮一大理石(JEmarble)、
静岡の老舗漬物メーカーカメヤ食品の代表も来場し、
日台4社による共同開発の背景と想いを直接伝える場としました。
会場では、台湾の地元食材を使用した漬物石の実演を実施。
・日本式の漬物石の使い方
・石と発酵文化の関係
・家庭での応用方法
を、体験を通して紹介。
“石を道具として使う”という文化を、
台湾の消費者に直接体感してもらう場となりました。
食器ではなく、食文化の器としての石を提案する試みです。

会場となったレストランのシェフと協働し、
カメヤ食品の漬物を使用した台湾限定アレンジメニューを開発。
台湾の味覚に合わせて再構築したメニューを提供し、
約50名の参加者に試食体験を実施しました。
単なる展示ではなく、
・食べる
・触れる
・作る工程を知る
という三層構造のプロモーションを設計しています。

本プロジェクトは、
「食器」を文化交流の“器”と捉え、
台湾と日本のローカル資源を掛け合わせた取り組みです。
・花蓮の大理石
・静岡の漬物技術
・燕三条の金属加工
・セメントの企画設計力
それぞれの強みを一体化させ、
海外市場へ向けて発信しました。
プロモーションにおいても、
単なる販売ではなく、
背景を伝え、文化を体験させ、価値を理解してもらう設計
を徹底しています。




SISI ― 從產地到餐桌(産地から食卓へ)は、
素材を加工するプロジェクトではなく、
産地の価値を再編集する取り組みです。
台湾・花蓮の大理石、
静岡の漬物文化、
燕三条の金属加工技術。
それぞれの地域に根ざした産業が出会い、
新しい文脈で再構築されることで、
石は“建材”から“食卓の道具”へと役割を変えました。
私たちが目指したのは、
モノをつくることだけではなく、
背景にある文化や技術、想いまでを
丁寧に届ける仕組みをつくること。
SISIをきっかけに、
産地と食卓がより近づき、
日常の中に産業の物語が息づく未来を描いています。